性同一性障害者が戸籍上の性別を変更するための条件と申請方法

戸籍上の性別を変更するための流れ

【STEP1】変更条件の確認

家庭裁判所が定める「性別の取扱いの変更の審判」を行うための条件に該当しているか確認する

【STEP2】必要書類を揃える

必要書類は下記に記載されているので確認してください

【STEP3】管轄の家庭裁判所に申立書を提出

必要書類を持って窓口にて提出します

【STEP4】家庭裁判所より面談日の通知

申立には参与員との面談があります。その面談日時が届きます

【STEP5】参与員との面談

当日は余裕を持って裁判所に向かいましょう

【STEP6】戸籍変更通知の到着

戸籍変更許可通知が届いたらできるだけ早く手続きを行いましょう

管轄の家庭裁判所はこちらで確認できます。

[aside type=”normal”] 参与員とは、家庭裁判所で行われる、名の変更、戸籍訂正、未成年者の養子縁組などの家事審判事件の手続きの際に審判に立ち会ったり、あらかじめ提出された書類を閲読したりして、裁判官が判断をするのに参考となる意見を述べる人(家事事件手続法第40条第1項) [/aside]

申立をすることができる人

性別の取扱いの変更を求める本人のみ

戸籍上の性別を変更するために必要な書類

  • 申立書(家庭裁判所にて記入又はインターネットからダウンロードする)
  • 申立事情説明書
    (申立事情説明書の各事項についてわかりやすく記載すると、裁判所が審理に必要な事項を迅速かつ的確に把握できるので申立て後の手続きが円滑に進みます)
  • 性同一性障害診断書 2通
  • 戸籍謄本 / 改製原戸籍 / 除籍謄本等
    (申立人の出生から現在に至るまでの連続した戸籍謄本が必要です、分からない場合には市役所などの戸籍係にその旨を相談して取り寄せてください。また、過去に子がいたが、現に子がいない場合、子が成人している場合、それを証明するための戸籍謄本も必要になります。)
  • 住民票の写し 1通
  • 収入印紙 800円分
  • 連絡用の郵便切手(※場所により異なる)
  • 手術証明書
  • 性器の外観に関する診断書

※必要書類は各都道府県や裁判官により異なる場合があるので、管轄の家庭裁判所へお問い合わせください。

性器の外観に関する診断書について

性別適合手術を終えると婦人科の診察を受けて診断書をもらいます。

診断書の主な内容は下記になります。

現在の身体的状況

  • 乳房の隆起は認められず、男性型となっている
  • 骨格筋は発達して筋力は強いと認められる
  • 声が低くなり、体毛が濃くなっている

現在の性器の状態

  • 超音波検査によれば、卵巣・子宮を確認できない
  • 現在の外性器及び生殖腺の状態から性別適合手術が行われたものと認められる

性同一性障害者が戸籍上の性別を変更するための条件の解説

家庭裁判所は、性同一性障害と診断された者であって、次の1〜6までの要件のいずれにも該当する者について、性別の取扱いの変更の審判をすることができます。

  1. 2人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること
  2. 20歳以上であること
  3. 現に婚姻をしていないこと
  4. 現に未成年の子がいないこと
  5. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
  6. 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること(ftmは除く)

これらを細かく解説していきます。

(1)2人以上の医師により、性同一性障害であることが診断されていること

法律で定めた性同一性障害の診断を的確に行うために必要な専門的な知識・経験を有する精神科医など2人以上の医師の一致した診断書が必要です。2人以上の医師が連名で診察書を作成せずにそれぞれ別々に作成する場合には、交付した診断書の用紙をコピーして使用してください。なお、その場合、それぞれの医師に診断書の用紙の全項目について記載するように依頼してください。

(2)20歳以上であること

成人であることが重要で、2022年4月1日から民法の成人年齢(現行20歳)が18歳に引き下げられます。改正法に伴って性同一性障害特例法が見直される見込みとなっており18歳から性別変更の審判が受けられることになるでしょう。

(3)現に婚姻をしていないこと

日本国内ではまだ同性婚は認められておらず、結婚後の戸籍変更は同性婚となってしまうことになります。

(4)現に未成年の子がいないこと

条文中に「子」と規定されているだけですが、「子」とは民法上の親子関係が実在するものをいい、養子も含まれます。ただし、連れ子や特別養子縁組で親子関係がなくなった子どもは「子」に該当しません。離婚した元妻あるいは元旦那との間に未成年の子がいてもこの条件には引っかかります。

(5)生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること

ftmに対しては子宮卵巣摘出手術が行われます。

(6)他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

ftmに関しては、陰茎形成手術をしない状態(子宮卵巣摘出手術のみ)で性別の変更が可能です。

裁判面談の必勝法

ftmの場合は、戸籍変更にあたり裁判所の参与員との面接の際に「なぜ陰茎形成していないのか」と聞かれる可能性があります。それに対して

  • ホルモン注射で陰核が肥大している
  • その証明を担当医に書いてもらえる準備もできている
  • 自分と同じ手術で申立している方が大半であり、それで許可を得ているケースは多い
  • 同じ日に同じ手術を受けた友人はすでに許可が降りている
  • 陰茎形成までする方はたった1%とごくわずかである
  • 技術の面、時間、金銭面でも負担が多く、すでに子供を生む機能を完全に失い、これ以上求めることは酷であるという司法官の判断があるのが現状で担当医からもその旨をプッシュされている

ということを答えていくことで許可が降りるので参考にしてみてください。

戸籍変更後の戸籍の記載について

戸籍の性別を変更する際に不思議なことが起こります。例えば現在長女で兄(長男)がいる場合、家族の戸籍から除外されます。新しい戸籍の筆頭者となり、長男がいながらも自分自身の新しい戸籍には自分が「長男」と記載されます。

また、現在三姉妹の三女の場合、戸籍の性別は変更されますが新しい戸籍には「三男」と記載されます。

名前の変更と戸籍変更の同時進行はNG

戸籍を変更すると。家族の中の戸籍から除籍され、自分1人の戸籍謄本となります。その際に、新しい性別の戸籍に以前の名前が記載されてしまう可能性があります。名前を変更する予定の人は、戸籍を変更する前に名前の変更を行ってください。

戸籍変更後の手続きについて

戸籍上の性別変更後は速やかに連絡・変更手続きを開始しましょう。

  • 各種金融機関
  • 各種クレジットカード会社
  • 保険会社
  • 国民年金
  • 運転免許
  • 電気会社・ガス会社・水道局 等
  • 携帯名義

※名の変更届とは違い、変更審判がされた場合には、裁判所書記官から申立人の本籍地の市区町村長に対し、戸籍の記載を依頼しているので、申立人から戸籍の変更届出をする必要はありません。

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