【洋ドラマ】バイセクシャルの女性を主人公に描く過激なプリズン・ライフ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」

ニューヨークの裕福な家庭で育ったパイパー。恋人と婚約し幸せの絶頂にあった彼女が突然、刑務所に。罪状は10年前、同性愛関係にあったパートナーのために麻薬密売の代金を外国に持ち込んだこと。塀の中で彼女を待ち受けていたのは、いじめ、人種差別、裏切り・・・。お嬢様育ちのパイパーが経験したことのない世界だった!強烈な個性の受刑者たちの間で揉まれながらも持ち前のスマートさとした高さでなんとか順応していくパイパー。受刑生活の中で巻き起こるドラマをカジュアルなタッチで描いたメガヒットドラマ!

アメリカ女子刑務所の明るい恋愛とセックス

2013年にファーストシーズンがNetflixで配信されると同時に話題沸騰、エミー賞を4回受賞したほか全米30以上のアワードで受賞したメガヒットドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』。

その見どころはなんといっても強烈な個性の受刑者たちが織りなす人間ドラマ。ボス争いや人種間闘争、刑務所という閉ざされた環境での恋愛やセックスがバラエティ豊かなキャラクターによって描かれる。

原作は自らの経験を元に書かれたノンフィクション小説。それだけに女子刑務所の実態がリアルに反映されている。しかし、日本の女囚モノにあるような湿っぽい暗さがないのがこの作品の特徴だ。その理由の一つはアメリカの刑務所が日本と比べ自由で、カフェテリアなどの娯楽施設の備えられているからということ。

そして、何より大きいのは、お嬢様育ちゆえの図太さを身につけた主人公であるパイパーのキャラクターだ。世間知らずで刑務所での面倒な人間関係の作法など全くわからないパイパーは、入所早々、ボスに目をつけられいじめにあう。以来、何かとトラブル続きのハードな状況なのだが、パイパーは常にどこかに能天気な雰囲気を漂わせている。持ち前のスマートさを生かしてサバイブしていく姿に突き抜けた明るさと爽快さが感じられるのだ。

そして女性同士の恋愛やセックスもごく自然なものとして描かれている。このため『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の舞台であるリッチフィールド女子刑務所には刑務所にありがちな閉塞感がなく、まるで全寮制の女子校のような印象を受ける。シビアな刑務所ライフと女子校的な日常のミックスが、登場するキャラクターに親近感を持たせ、見るものをドラマの世界に引きずり込んでいく。

オレンジ色の囚人服が剥奪する白人の特権

ドラマに魅了されるうちに見えてくるのは、女子刑務所という環境が浮かび上がらせる現代社会の縮図のような問題だ。タイトルにあるニュー・ブラックとは「流行りの」という意味であり、強制的に着せられるオレンジの囚人服を流行りと比喩したもの。

青して同時にブラックはアフリカ系の人々を指すダブル。ミーニングにもなっている。パイパーはそれまでアッパーミドルの白人として自分でも意識しないままに享受していら特権をオレンジ色の囚人服を着た瞬間に剥奪され、アフリカ系アメリカ人と同様に虐げられる側になるのだ。他にも男性看守によるセクハラ、ボス格の囚人によるパワハラ。人種間の対立など、さまざまなイシューについて、いつの間にか考えさせられることになる。

人種間対立、暴動・・・そして衝撃の結末が!

特にシーズン3では予算不足で刑務所が閉鎖の危機に陥ったことからコスト削減が徹底され、看守も受刑者もこれまでとは違った環境に適応させられるなど、非常に現実的でリアリティを感じさせられる状況が描かれる。

さらにシーズン4ではコストカットによる混乱から人種間の対立、受刑者と看守の激しい暴動といった衝撃的な展開が。そしてその先には誰も想像しなかった最悪の結末が待っている・・・。

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